最初の感想は、とてもシンプルです。

「難しすぎる」

この一言に尽きます。

この作品では、作者が外国人にとってはあまり馴染みのない表現を数多く使っています。

例えば、「溌剌」「打算」「打ちのめす」「自戒を込める」などの言葉は、日常会話や仕事の場面では頻繁に使う表現ではありません。そのため、日本語を母語としない私にとっては意味を理解するのが難しく、何度もAIで意味を調べながら読み進めました。

そのため、読むスピードはかなり遅かったです。

しかし、同時に、小説としての完成度は非常に高いと感じました。

地下鉄で読み終わった

登場人物の描写が非常にリアル

キャラクター作りは、この作品の大きな魅力だと思います。

登場人物は伸、ひとみ、そして第三者的な存在であるナナコを中心に描かれています。

特に主人公である伸とひとみの性格、意地を張ってしまう部分、過去の傷、そして恋愛の中で生まれる葛藤が、とても繊細に描かれています。

二人が悩みながら少しずつ相手を理解し、自分自身も成長していく過程が、読者にしっかり伝わってきます。

おそらく多くの人が、この作品を読むことで、自分自身の青春時代や過去の恋愛を思い出すのではないでしょうか。

伸とひとみという二人のキャラクターは非常に立体的で、まるで現実世界に存在する人物のように感じました。

独特で面白い物語の進め方

物語の構成も非常に面白かったです。

前半では、二人の文通だけが描かれています。

しかし、それだけでも十分に引き込まれました。

伸の視点を通して、ネット上で知り合ったひとみに対する想像が描かれます。そして読者も、伸と同じように「ひとみ」というまだ会ったことのない人物について想像を膨らませていきます。

この部分は、この作品ならではの面白さだと思います。

初めて実際に会う場面を境に、物語の雰囲気は大きく変化します。

特に、初対面の時に伸がひとみに対して怒りをぶつける場面は、とても生々しく、人間らしい感情が表現されていました。

後半では、二人のデートを中心に物語が進んでいきます。

一見すると普通の恋愛のように見えますが、毎回のデートの中で、二人の駆け引きや会話を通じて、お互いへの理解が少しずつ深まっていきます。

その過程の描写も非常に丁寧でした。

恋愛小説を通して伝える障害者への理解

この作品のもう一つ素晴らしい点は、障害を持つ人が感じる不便さ、周囲からの誤解、そして心の葛藤を、様々な角度から描いていることです。

恋愛小説として十分に楽しめるだけではなく、普段なかなか知る機会のない障害者の日常や気持ちを、自然な形で読者に伝えています。

以前、中国の小説『推拿』を読んだことがあります。

この作品では、視覚障害者の厳しい生活や社会の中での苦悩が描かれていました。

『推拿』は障害者の現実的な生活を通して社会の問題を伝え、『レインツリーの国』は恋愛という身近なテーマを通して障害者の気持ちや生活を伝えています。

表現方法は違いますが、どちらも障害を持つ人々への理解を深める素晴らしい作品だと思います。

最後に、個人的な感想

この作品で描かれているのは、主にひとみの恋愛の物語です。

しかし、その恋愛だけでも、一般の人には想像できないほど多くの困難や壁が存在していました。

(幸いなことに、ひとみは彼女のことを理解してくれる伸と出会うことができました。)

もし恋愛だけでこれほど多くの困難があるなら、障害を持つ方々が日々の仕事、生活、そして人生の中で向き合っている困難は、私たちが想像する以上に大きいものだと思います。

それでも、多くの人が困難に負けず、前を向いて努力しています。

健常者である私も、簡単に困難に負けるわけにはいかないと思いました。

どんなに心が折れることがあっても、また立ち上がることができる。

それこそが、人間の持つ強さなのではないでしょうか。

この作品から感じたことを、これからも心に刻んでいきたいと思います。

 

この記事は note に掲載した内容をもとに再編集しています。
原文:https://note.com/leeingz/n/ncbe78da8aff2